は、主に「新憲法草案」についての、私の考えていることをお伝えします。


by reodaisuki1

新憲法草案注解 前文(3)

 前回、前文は、五つの部分に分けることができると書きましたが、今日は、第二の部分について論じてみます。第二の部分は、こうでした。

 象徴天皇制は、これを維持する。また、国民主権と民主主義、自由主義と基本的人権の尊重及び平和主義と国際協調主義の基本原則は、これを継承する。

 ここは、「新憲法も現行憲法の基本原則は、継承します」と表明しているのだが、ずいぶんくわせものの文章である。大体、これが、現行憲法の基本原則であろうか。現行憲法の基本的原則は、「国民主権、平和主義、基本的人権の尊重」であるとは、学界の定説だし、国民の常識だろう。それを、その他に、象徴天皇制、民主主義、自由主義、国際協調主義まで入れ込んでいる。そして、順番も問題である。第一に、象徴天皇制をもってきていて、それだけ特別扱いしている。それだけでなく、象徴天皇制だけで、一つの文章にしている。「象徴天皇制は、これを維持する。」国民主権や、平和主義や基本的人権の尊重が、現行憲法の基本原則であって、象徴天皇制は、基本原則ではない。試みに、現行憲法の前文を読み直してみればよい。その前文には、「天皇制」については、ただ一度の言及しかない。「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」国民主権の民主主義に反するものなら、それが、たとえ天皇から出た詔勅であっても、これを排除するといっているのである。これは、大日本帝国憲法では、全く考えられないことが、書かれているのである。「天皇ハ神聖ニシテ侵スベカラズ」であったのだから、こんなことを以前に言えば、不敬罪であったろう。それが、いまや、堂々と、憲法に書いてあるのである。ところが、新憲法草案は、そうした文章を一切排除して、天皇制の復権をはかっている。ことは、重大である。つまり、新憲法草案は、天皇制を再び、憲法の根幹にすえようとしているのである。ただ、「維持する」というような生易しいことが目指されているわけではない。国民主権を軽んじても、天皇制を重んじようという意図がみてとれる。

 その次に気になるのは、「国際協調主義」という言葉である。現行憲法では、国際社会のためであろうと、日本が軍事的な貢献をすることは、全くかんがえられていない。現行憲法で考えられていることは、日本が戦争放棄をし、武力を持たず、交戦権を否定することによって、国際協調をしようということであって、新憲法草案のように、自衛軍を持ち、交戦権を暗に認めて、脅ししながら、国際協調をしようというのではない。全然、今の憲法の原則を継承しようなどとは、考えていないのである。ずいぶん、嘘の多い文章である。ここで言われている「国際協調主義」の中身は、場合によっては、海外に自衛軍を展開し、「国際平和」のためなら、武器も使おうということだろう。

 民主主義という言葉と、自由主義という言葉が、ここで使われている理由はよくわからない。「自由主義」とは、「新自由主義」のことであり、「自由民主党」の「自由」であろうとは思う。「民主主義」は、「自由民主党」の「民主」でもあるのだろう。しかし、それは、「民主」とはほど遠く、だんだん「独裁」に近づいているようにも見える。

 
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by reodaisuki1 | 2005-12-30 15:24